学校長式辞

令和7年度 入学式式辞

 春の日差しを受け、周辺の緑も色濃くなり桜の花も見頃を迎えた良き日に、吹奏楽部の演奏に包まれ、保護者およびご来賓の皆様のご臨席のもと、令和7年度 宮城県泉高等学校 入学式を挙行できますことは、私ども教職員にとりましてもこの上ない喜びであります。
 ただいま、入学を許可しました新入生の皆さん、入学おめでとうございます。皆さんは、9カ年の義務教育課程を修了し、自らの意志で本校への進学を決意され、本日晴れて入学式を迎えられました。今、皆さんの胸中は、これから始まる高校生活への夢と希望で、いっぱいのことと思います。本日の喜びは、皆さんのたゆまざる努力の成果であることは、言うまでもありませんが、これまで、熱心な指導によって導いてくださった中学校の先生方や、皆さんの健康をいつも気遣いながら、そっと辛抱強く支えてくださった保護者の方々の優しい励ましの賜であったことを決して忘れてはいけません。このことをしっかりと心に刻み、「感謝の気持ち」を持って高校生活を踏み出してください。
 さて、本校は、昭和48年、当時の泉市に初めて開校した、男女共学の普通科高校であり、平成7年の英語科新設を経て、今年度で創立53年目を迎える、歴史のある学校です。
 本校では、「健全な心身の鍛練、知の追求、情操の陶冶、豊かな人間性の育成」という建学の精神のもと、知・徳・体のバランスのとれた豊かな人間形成を目指し、3つの校訓を掲げ、日々の教育活動に取組んでおります。
 3つの校訓とは「明朗進取、自重敬愛、勤勉奉仕」です。
「明朗進取」とは、「明るく朗らかに、自ら進んでことをなすこと」を意味します。
「自重敬愛」とは、「自分の行いを慎んで軽々しく振舞わず、相手を敬い親しみの心を持つこと」です。
「勤勉奉仕」とは、「仕事や勉強に一心に励み、献身的に社会につくすこと」です。
 卒業生や在校生も、この良き伝統と校風を受け継ぎ、学業はもちろん、部活動や生徒会活動、学校行事、社会貢献活動などに充実した生活を送ってきました。
 本日、晴れて本校の生徒となった皆さんには、その歴史と伝統を継承していくにあたり、次のことを期待します。
 青森県立美術館などを建築した、建築家の青木淳氏によれば、建築は大きく二つに分けられるのだそうです。その二つとは「遊園地」と「原っぱ」に喩えられるといいます。「『遊園地』は利用者にとっていたれりつくせりの環境ではあるが、はじめに想定された楽しみ以上のものを得ることはできない。一方『原っぱ』の楽しみは、そこに集まってきた人たちによって編み出され、自分たちで遊びやルールを決めていく。『原っぱ』にはそこで何かを創り上げていく楽しみが無限にある」といいます。
「明朗進取、自重敬愛、勤勉奉仕」を校訓とする本校の教育は、決して「遊園地」ではなく、「原っぱ」に喩えられるものであろうと思います。校訓のとおり、自分自身や相手のこと、また社会や周囲のことを考え、自ら進んで行動に移せたとき、本校は限りなく可能性を秘めた場として機能します。
 また、本校では期待する生徒像として、「積極挑戦し未来を切り開く生徒」 を掲げています。英語ではIt's better to do something and regret it, than not do something and regret it.になり、意味は「やらずの後悔よりも、やっての後悔」と言います。
 楽天グループの創業者である三木谷浩史さんは、「挑戦の先に、未来は広がる。」と言っています。また、Amazonの創業者であるジェフ・ベゾスは「挑戦しない限り、成功はない」と言っています。
 皆さんには、無限の可能性があります。これからも自分の能力を伸ばすことができます。生涯に渡り挑戦し、自分の未来を自らの行動で切り開いていく中で、限界は広まり、能力は高まっていきます。「It's better to do something and regret it, than not do something and regret it.」「やらずの後悔よりも、やっての後悔」の言葉を心に刻み、積極挑戦する姿勢を、これから始まる高校生活で身につけてください。
 改めまして、新入生の保護者の皆様、本日は誠におめでとうございます。高校生活は、お子様が責任ある社会人として自立していくための非常に重要な時期にあり、心身ともに様々なことに遭遇する時期でもあります。私たち教職員一同、生徒の皆さんの自己実現や目標達成のために全力を尽くして支援をしてまいりますが、教育は学校だけの力で成し遂げられるものではありません。どうか本校の教育活動にご理解ご協力をいただきますとともに、常に暖かく、時には厳しくお子様方を見守り、しっかりと支えていただきますようお願いを申し上げます。
 結びに、本日ご出席いただきました皆様に重ねて感謝の意を表すとともに、新入生の皆さんが卒業を迎えたときに「泉高校で良かった」と思えるような、充実した高校生活を送ることを祈念して、式辞といたします。


                                  令和7年4月8日 
                                  宮城県泉高等学校 校長 小金 聡