学校長式辞
令和5年度 入学式

 校 長 式 辞

暖かい春の陽気に包まれて、生命が躍動する季節になりました。コロナ禍も4年目に入り、ようやく落ち着いてきました。4年ぶりに吹奏楽部の演奏に包まれ、保護者の方々および来賓の皆様のご臨席のもと、入学式を挙行できますこと、心より感謝申し上げます。

 

ただ今 入学を許可いたしました、英語科40名、普通科200名、合計240名の新入生の皆さん、入学おめでとう。皆さんの入学を心から歓迎いたします。

そして、本日までの15年間、お子様を立派に育まれました保護者の皆様にとっても、お喜びひとしおのことと拝察いたします。

 

さて、本校は、昭和48年、当時の泉市に初めて設立された、男女共学の普通科高校であり、平成7年の英語科新設を経て、今年、創立50周年を迎えます。

 

本校では、「健全な心身の鍛練、知の追求、情操の陶冶、豊かな人間性の育成」という建学の精神のもと、知・徳・体のバランスのとれた豊かな人間形成を目指し、3つの校訓とスクール・アイデンティティを掲げ、日々の教育活動に取り組んでおります。

3つの校訓とは「明朗進取 自重敬愛 勤勉奉仕」です。

「明朗進取」とは、「明るく朗らかに、自ら進んで事を為すこと」を意味します。

「自重敬愛」とは、「自分の行いを慎んで軽々しく振舞わず、相手を敬い親しみの心を持つこと」です。

「勤勉奉仕」とは、「仕事や勉強に一心に励み、献身的に社会につくすこと」です。

卒業生や在校生も、この良き伝統と校風を受け継ぎ、学業はもちろん、部活動や生徒会活動、学校行事、社会貢献活動などに充実した生活を送ってきました。

また、本校ではスクールアイデンティティとして「積極挑戦し未来を切り開く生徒」を掲げています。

泉高生の長所は、「素直さ」と「優しさ」、「真面目さ」です。これに加え、高校生活の中で様々なことに「挑戦」し、「経験」を積み重ねることができたなら、多くの成長の切っ掛けをつかめるはずです。

 

「it’s better to regret doing something than it’s to regret not doing something」  

日本語では,「やらずの後悔よりも、やって後悔」と言います。自分で決断して行動した結果、後悔するのなら、頭の中で整理することができます。しかし、「やらない後悔」は自分の頭の中で一生モヤモヤした後悔として残ると言うことです。

アメリカの作家、マーク・トウェインは「やったことは、例え失敗しても、20年後には笑い話にできる。しかし、やらなかったことは、20年後にも後悔として残るだけだ」と言っています。また、日本の作家の林真理子さんは「やってしまった後悔はだんだん小さくなるけど、やらなかった後悔はだんだん大きくなる」と言っています。

皆さんには、無限の可能性があります。自分の限界や能力を簡単に決めつけないでください。生涯に渡り挑戦し、自分の未来を自らの行動で切り開いていく中で、限界は広まり、能力は高まっていくのです。これらの言葉を心に刻み、積極挑戦する姿勢を、これからの3年間で身につけましょう。

 

新入生の皆さんは、様々な希望と期待を胸に本校に入学したことと思います。しかし、これから始まる高校生活は、楽しいことばかりではなく、苦しいことや、つらいことが待ち受けているかもしれません。

そんなときには「Adversity makes a man wise」という言葉を思い出してください。日本語では「艱難 汝を玉にす」と言います。「人は苦労や困難を乗り越えることによって立派な人間に成長するものだ」ということです。

苦しいときにこそ、この言葉を思い出し、「苦労や困難を経験している今この瞬間、自分は成長しているのだ。ガンバレ自分」と言い聞かせてください。

ただし、一人で抱える必要はありません。困ったときには相談してください。私たち教職員や先輩方は、皆さんと一緒になって考え、皆さんを支える努力を惜しみません。

 

入学に当たり、保護者の皆様にお願いが2つございます。

1つは、お子様が高校生として必要かつ望ましい習慣を身につけるよう、引き続きご家庭での見守りをお願いしたいということです。その上で、無理なく親離れ・子離れできるように、お子様を見守りつつも、少しずつ距離を広げていって下さい。とはいえ高校生は、経験も判断力もまだまだ未熟です。また、高校生を取り巻く環境は必ずしも安心できるものではありません。必要に応じて寄り添い、必要に応じて俯瞰する。その繰り返しが、お子様の自立を促します。

もう1つは、泉高校の教育方針をご理解いただき、学校との連携をお願いしたいということです。泉高校には、生徒の実態と社会の要請を踏まえた教育があります。高校1年生は、中学4年生ではありません。もっとストレートに言えば、高校は義務教育ではありません。私たち教職員は、お子様を1日でも早く泉高生にするべく、時には厳しく指導してまいります。このことをご理解いただいた上で、家庭と学校が車の両輪となり、お子様に対し、時に指導し、時に支援し、時に伴走することで、「自分の足で走れる、自走できる生徒になってもらいたい」と考えております。何卒よろしくお願い申し上げます。

 

本日入学した240名の新入生の皆さんが、無事、3年後の卒業を迎えたとき、泉高校に入学して良かったと思えるよう、私ども教職員は一丸となって取り組んで参ります。

新入生の皆さんが初心を忘れることなく、学業や様々な活動に積極挑戦し、苦労や困難を経験しつつも、大いに成長し活躍されることを心から祈念し、式辞といたします。

 

   令和5年4月10日

宮城県泉高等学校 校長 菅原 賢一